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教員A

「Aくん、あのピアノいらない?」
 市立芸大の4年の暮れ、教授に呼び止められた。
「あのピアノって?」
「息子の部屋の…」
「スタインウェイですか?」
 スタインウェイはピアノを志したものなら1台は手に入れたい名器である。
「今度、B型に買い換えるの。Aくんがいるんだったら分けてあげるわ」
「はぁ、でもどうして俺に、いえ、僕に?」
 育ちが良いのか、油断をすると、乱暴な言葉になってしまう。
「大学の4年間よく弾いていたじゃない。だから、Aくんが持ってるのがいいかなぁーって」
 教授の門下では最低レベルの生徒だった。見ちゃおれない、こう思ったのだろう。強制的に春休み、夏休みに教授の家で練習を命じられた。練習嫌いでピアノが下手だと思ったのかもしれない。
「先生、お金持ってませんけど…」
 生活には困っていないのだが、貯金というものを知らない両親だった。もちろん、私もお金など持っていない。この大学の年間授業料が3万円だったから行けた様なものだ。当時、桐朋学園の年間授業料は100万円だと言われていた。1980年前後の話である。
  
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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