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グラスの雫№5 真鶴その34

 さて、2回目の仕込み、萬膳庵が始まる。黄麹。暖かい九州でこれほどやっかいな麹はない。油断をするとすぐに腐ってしまう。腐らなくとも品質が安定しない。だから河内源一郎によって発見された白麹が安定した品質と仕込みやすさで九州の焼酎蔵に浸透していった。
「黄麹を仕込む時は神経を研ぎ澄ませて集中力も持続させないとだめだ。一番に油断がいけない」
 宿里のおやっさんが万膳氏と藤枝氏に語る。皺を深く刻んだ顔。細長くあごが少し尖っている。いつも厳しい人がさらに恐い表情をしてこちらを睨む。緊張感にあふれる宿里氏の顔に藤枝氏は背中につめたいものが走るのを感じたという。
「蒸しまでは萬膳と同じだ」
 山小舎の蔵は河内式ドラム蒸し器を使う。米を洗う、水に浸す、それから蒸す。蒸した米に黄麹菌をかける。蒸した米はかたまり、つまり団子状になっている。それを手でほぐしてやる。米一粒一粒に菌がつくように、丁寧な作業が始まる。いよいよ、緊張の黄麹造り。この作業の成否こそが芋焼酎の出来に最大の影響を及ぼす。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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