バー物語(フィクション)№300
引越し当日。
「マスター、何から運ぶの?」
野田さんがしびれを切らしたように私に声をかけた。常連さんには以前に<24日の夜に荷物を運び出すので手伝ってくださったらありがたい>と言ってあった。夜中の12時くらいからスタート出来ればと思っていたが、12時現在、あいにく満席。皆さん、飲んだりおしゃべりしたりで楽しげ。
「手伝う気のない人は帰りよし」
野田さんが今度はカウンターの常連さんたちに声をかけた。
「長尾さん、表に出て将棋しましょうか?」
ぽこちゃんがさっさと店の外に出ていった。長尾さんもバーボンのロックを片手に持って続く。どこからか机と椅子を持ってきて入り口横で縁台将棋を始めだした。8月下旬の真夜中といってもまだまだ暑い。ポコちゃんは団扇をあおぎだす。
「ボク、手伝います」
まっちゃんが立ち上がる。他の人たちはお勘定を済ませて帰っていった。
「今日はボトルとグラスを全て運びたいのです。冷蔵庫のような大きなものは明日、運びます」
「ダンボールあるの?」
「車をここまで持ってきます」
段ボール箱は車に積んであった。新店舗まで300メーターくらいか。車なしで運べる距離ではない。
「マスター、何から運ぶの?」
野田さんがしびれを切らしたように私に声をかけた。常連さんには以前に<24日の夜に荷物を運び出すので手伝ってくださったらありがたい>と言ってあった。夜中の12時くらいからスタート出来ればと思っていたが、12時現在、あいにく満席。皆さん、飲んだりおしゃべりしたりで楽しげ。
「手伝う気のない人は帰りよし」
野田さんが今度はカウンターの常連さんたちに声をかけた。
「長尾さん、表に出て将棋しましょうか?」
ぽこちゃんがさっさと店の外に出ていった。長尾さんもバーボンのロックを片手に持って続く。どこからか机と椅子を持ってきて入り口横で縁台将棋を始めだした。8月下旬の真夜中といってもまだまだ暑い。ポコちゃんは団扇をあおぎだす。
「ボク、手伝います」
まっちゃんが立ち上がる。他の人たちはお勘定を済ませて帰っていった。
「今日はボトルとグラスを全て運びたいのです。冷蔵庫のような大きなものは明日、運びます」
「ダンボールあるの?」
「車をここまで持ってきます」
段ボール箱は車に積んであった。新店舗まで300メーターくらいか。車なしで運べる距離ではない。
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