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バー物語(フィクション)№275

 「これで約20年経ってるんですよ」
 20年。半端な年月ではない。薫りをみる。蜜のような、黒砂糖のような…。傾けると、とろーっとしている。味、甘かった。こんな日本酒、今まで飲んだ経験がない。
 「わかりません。いろいろな古い日本酒をこれまで飲んできましたが、こんなのは初めてです。ただの熟成酒とは思えませんが…」
 私は参ったという意味も含めたコメントを出した。
 「これは貴醸酒というんです」
 キジョウシュ、初めて聞く名前だ。
 山本次長の説明によると貴醸酒とは、平安時代の宮中秘伝のお酒を、現代の技術で国税庁醸造研究所が開発、復活した日本酒。実験酒、研究酒と言ってもいいかもしれない。仕込み水の変わりに仕込みに日本酒を使う、わかりやすくいえば日本酒で日本酒を造る…。
 山本次長は続ける。
 「この酒は偶然、この蔵で見つけたんです。この会に参加される皆さんに是非飲んでいただこうと用意いたしました」
 なんと、打ち捨てられ忘れられた酒だと言う。もう一度じっくり味わった。

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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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