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バー物語(フィクション)№207

 「あ、ビール」
 その男は2杯目のビールを飲もうとしていた。6月も末の早い時間の一見さん。下駄履きにジーンズ。独特の存在感をかもし出している。入ってきたときに私の顔を見てうなずいたのが気にかかる。以前に会ったことがあるのだろうか。記憶には自信があった。しかし、この男、思い当たらない。
 「あ、ジン」
 「はい。何にいたしましょう」
 「ボンベイサファイヤありますか」 
 「はい」
 「ストレートで」
 男はチビッとボンベイサファイヤをすすった。うまそうにではなくクールに舐めるといった感じ。
 「あ、ジン」
 2杯目のボンベイサファイヤ。その間一言の会話もなく。1杯に30分くらいかける。ゆっくり時間が通り過ぎるのを楽しむタイプなのかもしれない。
 「あ、カキピー」
 「あ、ジン」
 結局12時近くまでジンを5杯ほど楽しんで帰られた。常連さんに囲まれてもそのカラーに溶け込むようにジンをゆったりとしたペースで飲み続ける。バーに慣れているんだな、また、来られるのだろうか。遠ざかっていく下駄の音を聞きながら思ったものだった。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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