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バー物語(フィクション)№149

 その男は背が高かった。痩せている。帽子を深くかぶっているので目が見えない。帽子、私の祖父もよくかぶっていた。イギリスの古い映画で紳士がよくかぶっているあれだ。山高帽ではない、もう少しカジュアルなタイプ。ソフトハットというのか。ドアーを開けたまま動かないでうつむいている。間。普通の人ではない間を持っている。長い間音楽に携わってきた私。わかる。私も動かずにジッと彼を見続けた。パッと顔をこちらに向けた。眼鏡。丸い。ロイドメガネ。目がキッと私を見る。鋭い。怒っているような雰囲気がある。年は…70前後か。顔の皺が年輪をうかがわせる。鋭い目は20歳出たばかりのきかん坊。私の目と彼の目。無言で見つめる、にらみ合う。1分も過ぎただろうか。
 「よろしいかっ」
 腹の底から絞り出したような声。しかしよく通る。まだこちらをにらんでいる。
 「はいっ。どうぞ」
 連動したように私も大きな声で答えた。散髪屋のおやじのように元気よく。11時。例によってまっちゃんはじめ常連さんが席を占めている。空いているのはだいたい私の正面だ。私のバーはカウンターの端から埋まっていく。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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