AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バー物語(フィクション)№147

 「マスター、何か下さい」
 あごのやや尖った男の子が注文する。
 「わたしもー」
 「あたしもぉ」
 女の子がそれに続く。こういった注文の時は何か適当なリキュールにグレープフルーツを絞って混ぜて出したものだった。
 ミドリ、カンパリ、スーズをそれぞれに使った。
 「緑、赤、黄色。信号機みたい」
 「うわ、ほんまや」
 女の子が色がきれいとはしゃいでいる。
 「マスター、何故このカクテルを出したんですか」
 男の子が訊ねた。
 「お気に召しませんでした?」
 「ううん。ちゃうねん。よそのバーでも何かちょうだいってよくいうねん。けど、ベースは何ですかとか度数は高くてもいいんですかとか甘さはどれくらいとか細かいこと聞くねん。でもマスターは…」
 「お客さん、私はカクテルの知識も乏しいし細かくお尋ねしてもその通り出来る訳でもなく…。ただ…」
 もったいぶって一呼吸置いた。私は高校の授業の時も大事なことの直前に間を置く。生徒は身を乗り出した。効果はあったと思う。
 「ただ何、なに、何?」
 女の子が聞きたくてしかたがないようだ。
 「ただ、皆さんが着ている服の色に合わせました」
 「うわー、本当だぁ。かっこいい」
 若者たちは単純なことに感激してくれた。
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。