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バー物語(フィクション)№135

 ゆっくりドアーが開いた。息が上がっている稲葉さん。額に汗びっしょり。ロマンスグレーの美しい髪も濡れて光っている。
 「マスター、これなんだけど」
 ふーふー言いながら少し持ち上げた。コルクの家、高さ40センチ、巾は60センチはあろうか。狭い店なのでものすごく大きく見える。稲葉さんの持つコルクの家を自分の手に渡してもらった。ずっしり腕に重さを感じる。10キロは軽く超えているだろう。持ちやすい10キロならなんでもないのだろうが、稲葉さんは壊れないように慎重に、丁寧に持ってきてくれた。私は窓際の普段はお客様の荷物置き場になっているテーブルの上に置いた。しまった。こんなに持ちにくくて重たいものを持ってきてくれと軽く頼んでしまった。私は人の好意を軽く受けてしまう傾向がある。自分で取りに行くと言えばよかった。
 振りかえると稲葉さんが横に立っていた。
 「うんうん。いいな。入り口入って右手にコルクの家、左手にトーマの絵。歴史を感じさせるバーの雰囲気が漂いだしたぞ」
 お礼、お酒で。バランタイン17年、ロック。稲葉さんの前に黙って置いた。また、忘れてはいけない恩が一つ。稲葉さん、ありがとう。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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