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バー物語(フィクション)№133

 傾いたドアーを見つめながら10日ほど前のことを回想していた。今は2時。後4時間で開けることになる。グラスの点検、ボトルの点検。壊れたボトルはすでに補充していた。氷と果物がない。イカリとコープで買うことにする。それと洗い物を運ぶかごがいる。店の中はかなり冷えていた。安物のエアコンではつらいに違いない。家から石油ストーブと電気ストーブを持って来よう。結局準備完了は7時前になった。これからはオープンの時間を1時間遅くしよう。どうせ今日もパラパラとしか来てくださらないだろう。
 午後7時に看板に灯をつけた。同時に大崎さんが入ってきた。
 「マスター」
 びっくりするぐらい大きな声。つられて私も言ってしまった。
 「大崎さん、生きていたんですか」
 大崎さんはズンズン近づいて私を抱きしめた。
 「危なかった。死ぬかと思った」
 声が半泣きになっている。
 「どれほどこの店が開くのを待っていたか。毎日毎日夕方に店の前を自転車で…」
 彼はしばらくしてからカウンターについた。
 「ビール。ここのビールはうまいわ。長い間飲まなかったのでよくわかったよ」
 ビールを注いでいるわずかな間に満席になってしまった。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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