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バー物語(フィクション)№130

 「このブレイクさんといい磯辺さんといい、まだ水道が通っていないのにがんばるな」
 「そうですね。磯辺の大将は大阪の中央市場から毎日大量の水を持ってきていますよ。それだけでも大変な重労働だと思うのですが」
 「そうだな。地震の後、飲食店は儲けなしで炊き出しみたいなことをやってるもんな」
 「お年寄りが終戦直後に似てるって…」
 「うん。俺は戦前生まれだからぼんやり覚えてる。焼け野原のところどころで湯気が上がってたもんだ。湯気が上がってるところにはくいもんがあった。で、泉さん、もうそろそろ、どうだ?」
 「そろそろ?ひんしゅくでは?」
 「準備はできてんだろ?」
 「はい。いつでもオープンできるようにしてはいるんですが、しかし…」
 「みんな喜ぶと思うぜ」
 私の店はショットバー。はたして皆さん、お酒を飲むような気持ちになれるんだろうか。死者の数は毎日発表されてそのたびに増え続けている。まだまだ世間は落ち着きを取り戻していない。食べ物屋さんが店を開けるのとは違う。どこか気持ちにしっくりこない遠慮があった。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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