AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バー物語(フィクション)№85

 視線をこちらに戻して続ける。
 「面白いバーだな。スコッチ、バーボン、リキュール。そこそこの物がそろって。カクテルのリストにフローズンまで載っている。うまそうな地酒まで。こんなバーはあまり見たことないな」
 稲葉さんにほめられているようだ。照れてくる。
 「しかし…」
 しかし?気になる。しかしの続きは。
 「しかし機能的過ぎるな。バーとしての遊びに欠けるのでは?」
 「はぁ」
 はぁとしか言いようがない。なるほど。私はちゃんこ鍋屋さんの遊びの部分をわざと排除してこの店を作った。西田氏がトランプ遊びができるようにカウンターを丸くしようとしたのも嫌った。3坪しかないスペース。無駄を無くす工夫ばかりしてきた。そのことを指摘されたのか。
 「その壁」
 私は壁を見た。
 「そこに一枚の絵が架かるとこの店の堅い空気がなごむだろうね」
 先ほどさみしいと稲葉さんが言ったベニアの化粧板。カレンダーでもはろうかな。
 「大崎、タラートへ行こうか」
 「ええ、行きましょう」
 「あそこのママはベッピンだなぁ」
 「ええ、きれいですね」
 「マスター、また来る」
 稲葉さんは大崎さんと一緒に近所のタラートに行かれた。タラートは今津線の際にあるタイ料理屋さんだ。存在は知っていたがまだ行ったことがなかった。若い男女が経営していると聞いていた。またレベルの高い料理を出すと。時計を見た。8時前。喧嘩好き君はまだ来ない。
 
スポンサーサイト

テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。