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バー物語(フィクション)№78

 『気の短い人だなぁ』
 「いいえ、お客さま。私はワイルドターキーのロックをお出ししましたが」
 「え?この量で?」
 私は1ショット30ccで出していた。しかしロックグラスが小ぶりなのと大きく氷を割っているのでたくさんの量に見えたのだろう。水割りに違いないと勘違いなさったようだ。
 彼は味を見て確認してから
 「チェイサー」
 と大きな声を出した。照れ隠しかもしれない。タンブラーに氷を割ってミネラルウオーターをいれた。
 「ごっついチェイサーだな」
 いちいちケチをつけるのが趣味なのか。喧嘩を売りたがっているように見える。バーマニアはどこかユーモラスなところが見え隠れするものだが、この手のタイプは一言一言にケンがある。
 彼らはあまりしゃべらない。ロックを2杯3杯と重ねていくうちに店の中を静かに見渡すようになった。喧嘩好きくんの目が黒板に止まった。
 「日本酒も置いてるのか。立山、えにし、梅乃宿ねぇ。とびきり美味しい日本酒を飲んだことがあるんだがなぁ」
 こちらをチラッと見ながら話した。明らかに私の反応を見たがっている。日本酒と言われて私も引き下がれない。三宮の吟醸、姫路の主水、千石茶屋で飲み食いしてある程度の知識を持っているつもりだった。また、塚口のワールドという酒屋さんに日本酒のイロハを教えていただいていた。
 「そんなに美味しい日本酒があるのですか。見てのとおり私は洋酒が専門です。日本酒はあまり存じ上げません。なんという銘柄ですか」
 はたして喧嘩好き君がどう切り返すのか。
 「めったにお目にかかれないと思うよ。いやー、その日本酒があったら毎日来るんだけどなぁ」
 ふむふむ。銘柄をすんなり言わない。じらしてこちらの反応を楽しむタイプか。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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