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バー物語(フィクション)№62

 私はお客様の目をじっと見た。彼もこちらをじっと見ている。50前後の紳士だった。知らない顔だ。私はお客様の目がオールドパーを見ているのを期待したのだが。私はオールドパーがどこにあるのか把握していない。しかたがない。お客様に尋ねることにしよう。
 「すみません。おきゃくさま。オールドパーはどこにありますか」
 彼はびっくりしたようにこちらを見ながら指差した。
 「あの隅にありますが」
 私はゆっくりと彼の指の方向をたどっていった。あった。比較的高い棚のところにあったので背伸びをするようにボトルを手に取った。まっさらのオールドパー。カウンターの左手に置いた。自分の顔が引き締まっていくのがわかる。タンブラーを自分の正面に置いた。氷を手早くグラスの大きさにカットした。オールドパーの首をカキッと音をさせてひねった。トクトクトクトクと軽やかな響きを立てながらタンブラーに流し込んだ。カットした氷をアイストングを使ってタンブラーに入れた。ちょうどいい大きさだ。ミネラルウオーターを入れる前にオールドパーと氷とグラスをなじませよう。マドラーを探した。どこにもなかった。心臓が口から飛び出しそうになった。まさか指で混ぜるわけにはいかないだろう。もう一度周りを見渡した。マドラーはどこかに出張されたようだった。
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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