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バー物語(フィクション)№54

 「どう?はかどってる?」
 昨日のお礼を兼ねてヒーローで昼食をした。ママは混雑した店内に気を配りながら話しかけてくる。
 「なめてました。午前中も少ししか張れてません」
 「おかしいわねー。タイル張りとかレンガ張りとか…。職人さんはちょちょいとすませているように思うけど」
 「どこか間違ってるんでしょうね」
 「わからないけど適当にすればいいんじゃない」
 適当。それが難しい。ガンちゃんに聞いてみるか。
 「コーヒーおかわり」
 動く気がしない。もう一本煙草をふかすことにした。
 
 電話の向こうでガンちゃんが笑っている。
 「そりゃーコンクリがいくらあっても足りないよ。最初に砂だけで格好をつけて薄く延ばしたコンクリを上から流し込むんだよ。速いしレンガも汚れないよ」
 そうか。砂だけでか。私は自分が敷いたレンガを見つめた。あれだけ丁寧にふき取ったのにねずみ色の乾いたコンクリートが小さな島のようにへばりついいている。思いっきり蹴飛ばした。もう一度蹴飛ばした。ガーンと大きな音が響く。びくともしなかった。プロはプロ、アマはアマ。しんどいかも知れないが今までどうりコンクリートを大量に使って張っていこう。タライを一つから二つに増やした。今までの倍の量のコンクリートを作ることにした。小さい時からへそ曲がり。ピアノなんて男がするもんじゃない。祖父に言われ続けて30年。その祖父も今はいない。バーをするなんて言ったら気絶するだろうな。思いながら砂とセメントを練っていった。
 
 
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テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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