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小説・パッションと指揮 その26

 その代表として、スヴャトスラフ・リヒテルとスタニスワフ・ヴィスウォツキ:ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏をあげることができる。今回の演目と同じくラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。1959年の録音である。
 スタニスワフ・ヴィスウォツキは巨匠とは言えないが、当時ポーランドを代表する新進気鋭の指揮者であった。破綻のないみごとな演奏である。ピアニストと指揮者が、全く新しいロマンチックなラフマニノフ像を作り上げた。それが今日まで、この曲の演奏の教科書のように君臨し続けている。リヒテル44才、ヴィスウォツキ38才であった。
 
 本日の演奏会、指揮者がピアニストに合わせようとした。そして、オーケストラ自体も合っているのかどうかを非常に気にしていた。結果、ピアノにも合ってなかったし、オーケストラは、ずれてしまった。
 どうせ、くずれるのなら、細かいことを気にせずに、大きな音楽で、火花を散らす競演をするか、息の合った共演を見たかった。
 江里の才能はどちらの場合にも対応できたはずである。

 慶州苑で焼肉を食べ始めてから1時間ほどして江里と藤井が来た。
「ベートーベン聴かずにごめんねー」
「ビールの誘惑に負けちゃったのー」
 誰ともなく言い訳の言葉が二人に浴びせられる。
「いえいえ、僕たちもビールを」
 藤井がビールをオーダーして改めて乾杯。
 
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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