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小説・パッションと指揮 その23

 私が尊敬する指揮者フルトヴェングラーは音を合わすなと言った。また逆に勝手に先に出るなとも言った。
 つまり、指揮者は指揮棒もしくは体で、もっと言えば念力で指示を出している。オーケストラは楽器を指揮者の思い通りに鳴らすように要求している。
 今回の林田勉はリハーサル中、指揮棒をほとんど振らずに、会場中を走り回って、タイミングのずれ、響きの充実をチェックし続けた。これではたして音楽ができるのか。
 音の響きだけで言えば、1980年、私が23歳の時。非常に貴重な体験をした。
 伊丹に陸上自衛隊中部方面音楽隊がある。そこの練習を見学する機会があった。
 曲はヴェルディの歌劇『運命の力』序曲。まず、音楽隊の指揮者が棒を振る。吹奏楽だけでこの序曲を演奏するのは難しい。だが、音楽隊は非常に上手に演奏した。
「先生、お願いします」
 指揮者は指揮台を降りて、宇宿允人に指導を仰いだ。
 宇宿允人。私が知る人物の中で、最高の変人である。奇人と言ってもいいかもしれない。当時、関西フィルの前身であるヴィエール・フィルハーモニックの指揮者であった。
 指揮棒を軽く構える。力みなく棒を下す。すぐにストップ。
「トランペット。あー、向こうの壁をぶち破るつもりで鳴らしてください。はい、どうぞ」
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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