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小説・パッションと指揮 その16

 江里のアンコールが終わって、コンサートは休憩に入る。私は楽屋に行った。すでに江里の周りは人だかりでいっぱいであった。
「ミスもあったけれど、いい演奏だったわ」
 ピント外れな評を大声で言うどこかのおばさん。ピアニストか。このおばさんの横に目がきらきら光る美形の女性。
「植原先生です。こちらは大阪でお世話になってる泉先生…」
 江里が紹介してくれたのは、江里のピアノの先生。優しい表情とエレガントな所作。上流階級な雰囲気を持つ。

「どうでしたか?」
 ぼんやり立っていると指揮者が来た。リハーサルで怒鳴りつけたのにもかかわらず、私に聞きに来るとは、根性があるのか、謙虚なのか。
「全くダメ、まだまだ。もっとピアノを聴かないと…」
「僕は、この曲を暗譜で弾けます」
 おっ。根性ある口答え。ひょっとすると、これからまだまだ伸びる余地のある才能を持っているのかもしれない。
「ふむ。暗譜で弾けてあれだったら、音楽やめた方が良い」
 最もキツイ言葉で彼にエールを送った。消化するか落ち込むかは彼の力量である。冷たい言い方かもしれないが、プロの指揮者としてやって行くには、これぐらいの批評をまともに受け止める性根がないと生きていけない。
 
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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