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小説・パッションと指揮 その4

「車軸を作るって…、工員だったっけ?」
 父が何をしていたか、まるで興味のない私。事務員だと思っていたのだが。
「工員ではない。設計した新幹線の車軸がどのような変化をするか、チェックする仕事だ」
 テスト走行時の新幹線の車軸。よく折れたと言う。まー、折れるはないと思うが、わかりやすく説明したのだろう。会社が求めるほどの耐久性がなく、破損していたとか。
「開業にぎりぎり間に合ったよ」
 父はうまそうに雪中梅を飲む。
「あの時はあせったなー」
 あの時…。 
 1985年、新幹線に2階建て車両導入。
「普通の車両でもギリギリなのに、2階建てにする。設計も品質管理課も必死に研究したわ。あれが私の仕事のピークかなー」
 言って父はパルタガスに火をつける。ゆっくりゆっくり。軽いがしかし深い息。葉巻の香りが狭い店内に充満した。

 第1楽章が終わった。弦がまるで歌えていない。ピアニストの意図を理解しようとしないのか、そんなことにまるで興味がないのか。指揮をしない指揮者はホール内を走り回っている。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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