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小説・パッションと指揮 その3

 暗くしかしどこか落ち着きのないfの和音。どこかに行こうとしている。ここではないどこか。
 江里はうまく進めていく。波のうねりのようなアルペジオにオーケストラの弦の響きが乗る。しばらくすると指揮者が怒鳴りだした。怒っているのではない。大きな声を張り上げている。どうやら指揮はしないがこのまま弾き続けろという内容か。
 指揮者は客席に走ってきて響きを確認しだした。
『まー、どんなホールか、気にはなるよな』
 私は指揮者には気をとめず江里とパッションフィルの演奏に集中する。

 江里からリハーサルに来てくれたらうれしいとのメールがあったのは5日前。私ごとき人間が大事なリハーサルに顔を出していいものかと躊躇したが、藤井もファーストヴァイオリンで出演している。興味深い。朝6時半に西宮を出ると間に合いそうだ。
 新大阪7時37分発ののぞみ号。品川に10時過ぎに到着。2時間半かからない。私が新幹線に初めて乗ったのは半世紀前の小学校2年生。ひかり号で東京まで3時間ちょっとかかった記憶がある。停車駅が増えているのに時間が30分短縮か。技術の発展はすごい。1分短縮に血のにじむ努力があったはず。
 私の父は住友金属の品質管理課という部署にいた。
「車軸を作っていてね」
 無口な父が私に仕事の話を初めてした。それは1990年の退職祝いの席。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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