AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説・菜その69

「和子と申します。よろしくお願いします」
「!!」
 菜はびっくりする。母親と同じ名前だ。
「このおうちのことはよくわかりません。色々教えてくださいね、菜さん」
「あ、はい。はい…」
 菜は混乱した。新しいおかあさまも和子。やさしそうな顔をしている。
「では、今日のところはこれまでだ。明日、一緒に食事をする」
 父義昭はそう言って新しい母となる女性を送っていった。
 菜はその夜、布団の中に入ってもなかなか眠れなかった。イヤという感情でもうれしいという感情でもない。何回か寝返りを打った。
『あ、あの手紙』
 菜は突然、母の手術前日に渡された手紙を思い出した。ごそごそ起きて勉強机の引き出しを開ける。
『私が退院した時に一緒に読みましょう。それまで預かっておいて…』
 菜の耳深く残っている母の声。
 手紙は白い封筒に入っている。開けてはいなかった。開けようともしなかった。母と一緒に読むつもりであったから。
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。