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小説・菜その49

「あら、早いわね、菜ちゃん」
 いつも4時くらいに帰っていた菜。今日は給食全部時間内に食べたのですぐに帰れた。
「おかあさま、あのね、今までね、残されて…。だまっていてごめんなさい」
 母に謝らなければならない。学校の帰り道ずっと思っていた菜。
「ええ、給食でしょ。知っていましたよ」
「……」
「本橋先生に聞きました。1年生の給食が始まってすぐに学校に呼ばれました。給食を食べるのが遅いので放課後に食べてもらいます、っておっしゃってたわ」
「ごめんなさい」
 菜はびっくりした。おかあさまは知っていた。恥ずかしい。
「ふふ、菜ちゃん、食べるのが遅かったのではなくて食べれなかったんでしょ。あなたは小さい時から口に合わないものはペッペッと吐き出していたもの。しかたないわね」
「でも、もう大丈夫です」
「そう、よかったわね。一つおとなになったのね」
『おとなになった…』
 菜は母の言葉に不思議を感じた。おとなになるって今まで出来なかったことが出来るようになること。菜は早くおとなになれたらいいなー、とぼんやり思った。そうだ、おとなになったらもっとおかあさまのお手伝いが出来る。
「おかあさま、晩ご飯作ります」
「菜ちゃん、まだ早いわよ。宿題ないの?」
「宿題します」
 菜はニッコリ笑って真っ赤なランドセルのふたを開けた。
 菜が笑った。久しぶりに見る娘の笑顔。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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