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小説・菜その47

 口を大きく開ける。目を瞑る。スプーンの感触。口に入れる。上唇で食物を舌の上に。スプーンを口から離す。目を開ける。臭い。肉が臭い。すっぱいものが胃から沸いてくる。両手でアルマイトの器をつかむ。吐き出す。泣く。菜は泣いた。やっぱりダメだ。
 本橋先生、菜が食べようとしているのをジッと見ていた。菜は1年生の時、ハナから食べるのをあきらめていた。放課後ゆっくり食べるつもりだったのだと考えていた。2年生になって給食の時間内で食べようとしている。しかも泣きながら。
「小西さん、今までのように放課後ゆっくり食べたら?無理しないで」
 本橋先生、菜に近づいて言う。しかし、冷めた給食を授業後食べさせる、それが残酷なのだが本橋はわからない。
『放課後…、もうジュンくんはいない…』
 だから必死で食べようとしている菜。
「はい。そうします」
 うなずいて本橋先生、教壇に戻った。
『もう一度最初から』
 菜は再びスプーンを取った。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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