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小説・菜その4

 菜が家に帰った時、和子は裁縫をしていた。内職である。義昭の稼ぎだけでも生活は出来ないこともないのだが、和子は働くのが好きであった。
「おかえり、写真、うまく撮れた?」
「……」
 菜は母に言えなかった。左右違う靴下、脱いで素足で撮影した。言うと母が悲しむのではないかと思った。父に叱られるのは平気だが母の悲しい顔を見るのはイヤだった。6才にしてはませた少女である。
「ん?どうしたの?」
 裁縫の手をとめて菜の顔を見る。
「うん。うまく撮れたと思います。おかあさま、何かお手伝いしましょうか?」
 小さな台所と6畳の部屋が二つの市営住宅に住んでいる。環境に似つかわしくない菜の言葉。母和子のしつけの賜物である。
「美しい言葉でしゃべるのよ」
 和子の口癖であった。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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