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フィクション★ハタッチその15

 飲めないってどういう意味だろう。俺は恐る恐るグラスに口を近づけた。
「うわっ。なんです?これ?」
「ふふふ。飲めないっていう意味わかった?」
 唇にスピリタスがふれた瞬間、蒸発した。思い切って口に入れた。入れた途端、口の中でもはじけてしまう。のどを通る前に蒸発する。
「ま、これが純粋なアルコールに近いウオッカの姿です。次、40度のブランデー、いってみようか」
 先生の台所には、なぜか本箱があった。その本箱から出されたのは、きれいな丸い形をしたボトル。真ん中に丸いマークが入っている。そして肩にトゲが生えていた。
「これはルイ13世というコニャックです。ボトルはバカラ。綺麗だね」
 ブランデーグラスに入れて渡された。
「これはさっきと違って飲めるよ。といっても、ハタッチは今回だけで生涯、飲む機会ないかも。これ貴重品だからなー」
 注いだ瞬間から部屋中に重厚なブランデーの香りがする。それだけで、すごい代物という予感がする。
「これも下村先生からいただいたんですか?」
「いただいた…かぁ…。少し違うな」
「え?どう違うんです?」
「いつもはね、下村先生がこれ、持って帰りなさい、って言うんだよ」
「で、これは?」
「サイドボードの中から好きなの1本どうぞって…」
「じゃー、一緒でしょ?」
「違う。ワシ、一番高いの選んでしまった。わかってて。これ1本でアップライトピアノ買えるよ」
「えー」
「ま、いつか恩返しと唱えながら生きてるから、ええかなーって」
 先生はいたずらっぽく笑った。が、俺なら出来ない。そんな高価な物をもらう度胸はない。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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