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教員Aその175

 パキッ。簡単に割り箸が割れた。
「おー」
 皆さん感嘆の声。
「ね。このようにピアノも念力を使って弾くんです。では、もう一度…」
 ショパンのエチュードを1ページ弾かせる。
「んー。やっぱりうまく弾けないです…」
「それは、念力の使い方がまだわかっていないからです。右手のアルペジオを和音にして弾いて…」
 和音を押さえる時にすでに腕と体に緊張が走る。どうやら音を出す行為に恐れがあるようだ。
「音を出さないで鍵盤の上に指を乗せるだけにして…」
 つまり、鍵盤の位置に指を置くだけ。音を出そうとしないので今回はなんとなくリラックスできている。それを何回も繰り返した。
「ではいよいよ念力で音を出します。小指でESの音を出して。その時に音を響きだけ想像して…。弾こうとしない事…」
 ESの音。ようするにミのフラットである。この子と、まだショパンを聴いていないがチック症の子は、鍵盤を動かすのに神経を使いすぎるのだ。何回か繰り返すうちに自然に弾け出した。ここまでくると指は自然と早く動き出す。頭の中に音が想像できれば指は勝手に動く。人間の体はそのように出来ているのだ。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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