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教員Aその129

 副科声楽は教育課程の必須単位。つまり教員免状をもらうための授業である。副科声楽など適当に教えるのものだと思っていたが、曽我先生は手を抜かず専門の学生を教えるのと同じように熱心にレッスンをしてくださった。
 生徒を曽我先生に引き合わせる時に高校の条件も付け加えた。京都芸大進学指導はしないが受験は自由と。
「まぁ、がんばりましょう」
 曽我先生は合格するともダメとも言われなかった。が、ニュアンスでわかる。いけそうな雰囲気だった。私はこれ以降は彼女の声楽レッスンから手を引くことにした。
 日乃日乃学園の父兄は音大の入試前に大学の教授に習わなければ合格しないと思っていた。いや、日乃日乃学園ばかりではない。姫路市の人たちはみんなそう思っているふしがある。コネで合格するほど国公立の芸大、音大は甘くない。実際、曽我先生は京都芸大の非常勤講師。入試には全くノータッチである。

 9月のホームルームの時間、生徒に質問された。
「先生は普段何を食べてるのですか?」
 私は朝は食べない。昼は学校の食堂。夜は…。
「夜は月に一度だけ魚町で美味しいものを食べて、飲んで…」
「他の日はー?」
「そうめんばかり食べてます」
「そうめん好きなん?」
「しかたなくです。そうめんはお中元でたくさんもらいます」
「ご飯はー?お米嫌いなん?」
「いいえ。お米は買うお金がないのです」
「えーーー!なんでー?」
「えと、…あー」
 ピアノの借金を返すため金がないと言って良いものだろうか。一瞬躊躇したが言う事にした。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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音大受験

音大受験には、その大学の先生に習わなければいけないと今まで思っていました。姫路の常識?!
楽しみにしています

その大学の先生

音大の特殊性があります。それは授業が個人レッスンが中心という事です。大学に進学しても誰に教わるかは大切なポイントになります。教わりたい先生の門下生になれるかどうか、大学受験前にレッスンを受ける意味があります。規模の大きな私学は滑り止めになります。滑り止めに大学の先生は選ぶのはできません。失礼にあたるからです。ので、私学の場合ほとんど受験前にその大学の教授にはレッスンを受けません。もちろん、習ったからといって受験の点数にかなり有利という事はありません。ただ、ボーダーラインでコネがあると有利に働く可能性はあります。
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higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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