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教員Aその120

 チャイムを押して玄関に入る。迎え出たのは父親。食事中だったのか爪楊枝をシーハーシーハーしながらこちらを見下ろす。
『なんじゃこのおっさん。態度ワルー』
「お嬢さんの事で…、はぁ」
 池山先生がそう言うと、二人は上がって右手の応接間に通された。座って待ってると生徒と母親が入ってきた。親子3人と我々2人が対面する形。
「この子ね、学校やめたいって言うんです」
 母親が言った。そして続ける。
「私はね、続けて欲しいんですけど…」
 けど…、で終わってしばらく沈黙が続く。父親は相変わらず爪楊枝と遊んでいる。
「どうしてやめたいと思うんですか?」
 池山先生が生徒に質問した。
「面白くないんです。授業もレッスンも」
「はー、それで?」
「友達もあんまり、それに…、学校遠いし…」
「はー…」
 お得意の池山節。はー、の連発。私はキョロキョロと室内を観察していた。アップライトピアノが置いてある。その上にはフランス人形。専門に音楽を志す人間のピアノが応接間とは。たとえ声楽志望でもそれはない。家庭の無理解もこの事から推測できる。音楽は花嫁になるためのアクセサリーぐらいにしか思っていないのか。ピアノの移動が難しいのであれば、この部屋を生徒の勉強部屋にすべきだ。
「A先生はどう思ってですか?」
 ぼー、と考え事をしている時に池山先生に急にふられた。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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