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教員Aその91

「調律、見てくれますか?」
 音楽科の主任、池山先生に頼まれた。
「何をすればよろしいのです?」
「音楽科のピアノの調律をします。それでよかったら承認。悪かったらやり直しさせてください」
 冬休みの間に調律をするという。全部で10台ちょっと。簡単な仕事だ。自分がするのではない。専門の調律師の仕事が終わったらご苦労さんと言えば良いようなもの。
「わかりました。音の合わせだけですね」
「はぁ。明日します」
 はぁ…、池山先生の口癖だ。
 調律はお昼過ぎから始まった。私は終わるまでバスケットボールクラブの見学をすることにした。相変わらず、練習試合も全敗。それでも部員のやる気はなえない。立派なものだ。
「終わりました」
 調律師が呼びに来た。ピアノの数が多いので数人がかりでする。
『どれどれ、どんな調律かな』
 私は一つ一つのピアノをチェックしていった。オクターブ、2オクターブを両手の人差し指で確認していく。若い22才の教員が人差し指で音を確認していく様を含み笑いしながら見る調律師もいた。片づけを始めるものもいる。一通りすべての教室を回った。
「先生、帰ってよろしいか?」
「あかん。全部やり直し」
「はぁ?」
 調律師たちはポカーンとした表情をしている。
「もう一度言います。全部一からやり直し。こんなへたくそな調律見たことない」
「なんだと」
 今度は気色ばった連中に囲まれた。
「さすが、こんな調律するだけある。耳が遠いですか。全部やり直しと言うてるんや。アホ」
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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こんばんはー。

むか~し、先生のスタインウェイの上に、調律のハンマーが置いてあったのを思い出しました。その時、私は高校生だったのですが、先生がご自分で調律されるの!?ってびっくりした記憶があります。調律は調律師さんに頼まないといけないという固定概念があったので…自分でできるなんてすごく面白いです!
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higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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