AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説・菜その162

 菜は、それから30分連続でしゃべり通した。新しいお店の立ち上げ。菜はたいへん興味があった。実は条件なんてどうでもよかったのである。楽しく働きたい。好きにメニューを考えたい。この話はそれにピッタリだった。弟のアドバイスでこちらの言い分を聞いてもらおうとしたのが間違いであった。それに気が付いた菜は必死で話した。この職場に期待すること、楽しみにしていたこと、一生懸命すること…。
「ああ、わかりました。では、最初は手さぐりでいいのですね?」
「はい。よろしくお願いします」
「で、お給料ですが、売り上げの10パーセント+10万円でよろしいか?」
「よくわかりませんが、お任せいたします」
 マスター氏、この子、よくしゃべるなー、という印象を持った。口下手に見えるのに、こちらに呼吸の間も与えずにしゃべり続ける。
「では、今のカフェを辞める方向で動きます」
 菜は後には引けないセリフを口にした。
「ええ、5月をめどに」
「はい」
 菜はにっこり笑った。後、3か月以上ある。急にやめるとは言わないで済む。2003年2月のことであった。
   
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

小説・菜その161

 菜がマスター氏に連絡するとすぐに会うということに。
 場所は西宮北口駅前にあるテラステラスというカフェ。菜が勤めているカフェの4倍は面積がある大型店。西宮北口で居酒屋さんとして成功しているふじやグループの一つである。
「終電までに帰りたいんです。今、働いているカフェ、営業時間は決まっているのですが、帰りの時間がマチマチで。きっちり決めていただいてたら働きやすいんです。それと、お給料はどのような感じなんでしょうか?あ、いえ、たくさん頂きたいという意味ではないんです。これまでは、わりといい加減と言いますか、適当と言いますか…。それと…」
「あー、小西さん。悪かった。私が悪かった」
「は?」
「いえ、この話はなかったことに…。ごめんごめん、ほんま、ごめん」
「え、あ、あのー、おっしゃってる意味が…」
「これからの店なんです。手さぐりです。私自身がお客さんの要望で料理と思ったんですが。流しましょ」
「なぜですか?」
「いっしょに考えて、運営して、楽しい空間を作ろうと思っています」
「はい」
「最初に条件を出されてもわからないです。また、決めて変更するのも私の性分にあいません。ごめんね。他をあたります」
「あ、待ってください。マスター、待ってください」

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

宝塚市交響楽団第50回定期演奏会

2011年11月20日(日曜日)15:00
於:ザ・シンフォニーホール
ワーグナー:楽劇 「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
プロコフィエフ: 古典的交響曲 ニ長調(交響曲第1番)
サン=サーンス:交響曲 第3番ハ短調 「オルガン付き」
 1700席ほぼ満席でした。ご立派です。
 このオーケストラは弦の甘さが欠点でもあり課題でもあると思っていましたが、今回はよく響いて説得力のある響でした。がんばりましたね。50回という節目にふさわしい曲目と演奏であったと思います。
 団員の方によると私の批評は辛口らしいですが、今回は純粋に演奏を楽しめました。傷はなんとでも言えますが、大変楽しめた定期演奏会でした。
 サン=サーンスの交響曲「オルガン付き」のはじめ、なんとワーグナーの響が。「トリスタンとイゾルデ」を1曲目に持ってきた狙いがここにあるのか、もしくは偶然か。アンコールまで一貫したプログラム。
 1人の塚響ファンとして今後もこのような定期演奏会が続くことを祈ってやみません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

小説・菜その160

 マスター氏に今の職場を辞める気はないと伝えたが、今のカフェ、給料の支払いが遅れていた。
『詳しく聞いてみようかしら』
 菜は何か新しく行動を起こす場合、弟によく相談した。今回も…。
「おねーちゃん、自分の条件をはっきり伝えるべきだよ」
 下の弟、和哉が答える。
「そうね、今のカフェ、立ち上げのお店という事もあって、手探りでしていたわ。みなさんそうだった。それが、立ち行かなくなって…、福田さん辞めたし、お給料も遅れがちだし」
「今は就業時間ないだろ?何時までって決めるべきだよ」
「そうね」
「お給料もきちんとはっきり額を聞くべきだよ」
「そうね」
「それに役割。お料理だけでいいのかサービスもするのか、助手はつくのか、メニューは任せてくれるのか、お休みはあるのか。ま、あると思うけど、有給とかあるのか…」
「ふふ。和哉は頼もしいわ。うん、今度マスターにお会いした時に聞いてみる」
 菜は、この和哉のアドバイスに従うことにした。まずは会っていろいろ聞こう。こちらの言い分もお伝えしよう。それから今のところを続けるか辞めるか判断しよう。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

小説・菜その159

「実は、お料理のできるスタッフを探していてね」
 お客様がおられてもおかまいなしにしゃべりだすマスター氏。
「……」
 じっとマスター氏の顔を見続ける菜。次の言葉を待っている。
「隣の隣のビルの2階、やき焼き亭一勝、わかる?」
「ええ、伺ったことあります」
「そこを1階に引っ越す計画があるの」
「……」
「で、このバーをその2階に引っ越そうかと」
「はい」
「ここは6坪のバー。2階は15坪ある」
「ええ」
「お客さんの要望でね、まともな料理を出してと言われてね」
 現在は冷凍食品、缶詰と簡単なおつまみしか置いてなかった。
「で、お料理できる人の心当たりがなかって。それでどないかなと」
「私は、今の職場を辞める気はないんですけど…」
「いえいえ、急には答えを求めませんよ。まー、そんな話があったなー、と気に留めといてくれる?」 
「はい」
 にっこり笑う菜。悪い気はしなかった。スカウトされた。
 マスター氏、菜の勤めるカフェは長くはないとの情報をつかんでいたのである。菜の耳にはその話は伝わっていなかった。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。