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小説・菜その150

『いつまでたっても?なに?』
 菜は次の言葉を待った。
「私が尊敬するバーテンダーにしんちゃんという方がいました」
「はい…」
「カクテルはすべて目分量。特に圧巻はショートカクテル。グラスにぴったり」
「量がですか?」
「そう、量だけではなくてね、味もいつもいっしょ」
 マスター氏目を遠いところに向ける。
「あんなうまいサイドカー、飲んだことないね。私は100軒以上バーめぐりをしているけどあの味以上のサイドカーは全然ない」
 菜は何を言おうとしているのかよくわからない。
「私は正直、ド素人。あれやこれや、あなたのようなプロに意見言う資格はないんです。けど」
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

小説・菜その149

 いろいろお酒を楽しむというより忠哉と一緒にいる空間が楽しい菜。ジントニック2杯で十分。忠哉はシングルモルトをストレートで飲んだりしていた。
「お姉ちゃん、そろそろ…」
 菜たちがゆっくりしている間にカウンターは満席になっていた。
「そうね、でも…」
 なんか引っかかる。尾を引いている。聞きたい聞いてみたい。
「マスター」
「はいはい、なんでっか」
 丁寧な対応をすると思えば、へんてこりんな大阪弁を話すマスター氏。ふざけているのか、真面目なのか…。
「何か違うんです」
「あぁ、ジントニック?」
「はい」
「普通量るよね?」
「ええ」
「えっと、小西さん?お料理も?」
「はい、必ず」
「じゃー、いつまでたっても…」

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小説・菜その148

「では、ジンが少ないと甘さも控えめ?」
「まー、そんなとこかなー」
 菜はよくわからなかった。このマスター、ジンを少ない目に入れてたかしら。
「お姉ちゃん、ボク、もう一杯ジントニック注文するから、作り方見といたら?」
 忠哉が菜に語りかける。
「ジントニック、お代わり下さい」
 忠哉は菜の返事を待たずに注文する。
「はい、どうぞ」
 マスター氏、素早くお代わりを作った。
『やっぱり、ジンは少なくない』
 菜はジッと見ていたが、自分が今まで飲んでいたジントニックと量的に差があるとは思えなかった。

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小説・菜その147

 ジントニックが甘くないのは何故?菜は聞く。
「は?甘くない?ふーん、そうですか」
「メジャーカップで量るのと何か関係があるのでしょうか?」
「うーん。どやろね。関係あるっちゃー、関係ある。ないっちゃーない」
『なんか、このマスター、いらつく。はぐらかす?教えるのがイヤ?ケチ?』
 菜はジッとマスター氏を見つめる。
「ふっ。おじょうちゃん、そんなに私を見つめて…。惚れるなよ、火傷するぜ」
 菜は顔が真っ赤になった。だれがこんな男に。ぷんぷん。
「ジンの量です」
 突然の答。ジンの量って?
「おじょうちゃん、真面目すぎるのは体に毒だよ。正解はジンの量です」
 ジンの多い少ないで甘さが決まる?菜は不思議に思う。トニックの種類とかライムの絞り方とか、そんなのが関係すると思ったのに、ジンの量?
「ジンが多いと甘くなくなるんでしょうか?」
「ぶぶー。不正解。今の不正解であなたは欠点になりました。つきましては学校から追試の連絡がいきます。次回頑張ってください」
 ぷっ。思わず笑ってしまった。しかし、このマスターを嫌う人はとことん嫌いになりそう。

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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