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小説・菜その146

「今のお店も、以前働いていた所も、メジャーカップを使っていました」
「あぁ、几帳面なのね」
「え?それだけですか?」
「ふっ、ジントニック一杯作るのに、何でそんなに慎重にならなあかんねん。ぷっ」
『ぷっ。って。何?馬鹿にされている?』
「おじょうちゃん、馬鹿にしているんではないんですよ」
『あらー、見透かされている』
 このマスター、菜が初めて見るタイプの男であった。
「私はね、面倒くさいだけなの。本当はね、計った方がいいでしょうね。でもね」
「はい」
「ライムも一つ一つ味や状態が違うでしょ?ジンの量をいつも完璧に合わせたっていつも同じ味が出ないのよ。だったら簡単にした方がいいでしょ?違う?」
『違う、絶対違う。このマスター、本気でしゃべってない』
 菜は、本当のことを何か隠しているような気がしてしかたなかった。が、悲しいかな、カクテルの知識が乏しくて核心に触れる質問ができない。
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小説・菜その145

 ライムを絞る、タンカレージンを入れる、氷を入れる、トニックを入れる。
「?」
 菜はマスター氏の動きをいつもの癖で凝視していたが、以前働いていたカフェとも福田さんと一緒に行ったバーとも違う動き。
「お姉ちゃん、乾杯」
「あ、乾杯」
『あら、さわやかであんまり甘くない…』
 菜はジントニックは甘い飲み物だと認識していた。が、ここのそれは違った。作り方の違いからくるのか、菜は気になって仕方ない。
「あのー…」
 無言で菜を見るマスター氏。
「あのー、で?何ですか?」
 愛想のない返事が返ってくる。
「メジャーカップ…」
 菜が一番気になったのは、量を計らない動作だった。
「メジャーカップが何か?」
 

小説・菜その144

菜は下の弟、忠哉とそのバーに行った。夜8時。時間が早いのか客はいなかった。
「こんばんは。先日はありがとうございました」
 大きな声で挨拶。菜らしい行為。
 無表情な顔で菜を一瞥するマスター氏。
「あぁ、カフェの…」
「はい。よろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
 どうぞと言ってどの席を案内するわけでもなく相変わらずぶっきらぼうなマスター氏。
「おねえちゃん」小声でつぶやく忠哉。
「ここに座りましょ」小声で答える菜。
 二人はカウンターのど真ん中に座った。
「なんしましょ?」
 菜は忠哉の顔を見る。
「あ、ボク、ジントニックで」
「私もそれをお願いします」
 マスター氏、無言でうなずきながら冷蔵庫を開ける。

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小説・菜その143

「いえ、弟と行きます」
 きっぱり答える菜。
「ふーん、弟さん…」
 なんで、俺ではダメなんかいな、といぶかる大野氏。
「場所わかる?」
「いいえ、わかりません。教えて下さい」
『菜ちゃんって、かわいい顔しているのになんでしゃべるときは軍隊調になるんかな』 
 なんか、しらけるなーと思う大野氏。
「場所はね…」
 説明しだすとメモを取る菜であった。

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小説・菜その142

 せっせと菜が作るパスタを食べに通う大野氏。
「いつもありがとうございます」
 菜は挨拶をしてすぐに厨房に戻る。
「んー、今日は少し塩が少なかったなー」
 食べ終わると一言コメントを必ず残す大野氏。
「はい。気をつけます」
 気をつけるとは言ったものの、いつも同じ作りをしていると思っている菜。
「この間、ひげ面の男、来なかった?」
「ええ、ジェノベーゼを…」
「甲風園のバーのマスター…」
「え?バーの?」
 なんとなく普通の男の感じではなかった。ので、記憶に残っていた。
「今度一緒にいかない?そのバー」
 ナンパに走る大野氏であった。

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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