フィクション★ハタッチその16
ルイ13世、甘さが半端じゃない。さっき飲んだスピリタスのアルコールのタッチが全然ない。値段が高いと聞いたからかも知れないが、この上ない味わいと感じた。
「じゃー、最後にアルコール度数っと、14度未満って書いてるな。このワイン」
先生が手に取ったワインにはきれいな絵が描いてあった。左に羊が踊っている。右に葡萄の絵。
「面白いデザインですね」
「あぁ、これ。毎年絵を変えるらしいよ。82年だから9年前か。まだ若いかな。もったいないかもね」
「なんていうワインです?」
「ムートン。ムートン・ロートシルト。下村先生宅にはこんなんゴロゴロしている」
ワイングラスに注がれた色は濃い。黒さが混ざったような赤い色。
「どう?」
渋い、甘い、すっぱさが少しある。苦さもほんの少し。
「先生、よくわかりません」
「だろうなー。でもね、ハタッチ。この味がわかる男にならないとダメだよ」
「どうしてですか?」
「ルイ13世、うまいと思ったろう?」
「はい」
「でも、あれは蒸留技術と樽を使った熟成技術との結晶。このワインは農作物を絞ったジュースに酵母を添加、少しの間の樽熟成。いうなれば自然にもっとも近い味」
「……」
「素材の良し悪しが出るのがこのワインとか日本酒の醸造酒」
「……」
「100点の演奏ってどんなんかな?想像した事ある?」
「じゃー、最後にアルコール度数っと、14度未満って書いてるな。このワイン」
先生が手に取ったワインにはきれいな絵が描いてあった。左に羊が踊っている。右に葡萄の絵。
「面白いデザインですね」
「あぁ、これ。毎年絵を変えるらしいよ。82年だから9年前か。まだ若いかな。もったいないかもね」
「なんていうワインです?」
「ムートン。ムートン・ロートシルト。下村先生宅にはこんなんゴロゴロしている」
ワイングラスに注がれた色は濃い。黒さが混ざったような赤い色。
「どう?」
渋い、甘い、すっぱさが少しある。苦さもほんの少し。
「先生、よくわかりません」
「だろうなー。でもね、ハタッチ。この味がわかる男にならないとダメだよ」
「どうしてですか?」
「ルイ13世、うまいと思ったろう?」
「はい」
「でも、あれは蒸留技術と樽を使った熟成技術との結晶。このワインは農作物を絞ったジュースに酵母を添加、少しの間の樽熟成。いうなれば自然にもっとも近い味」
「……」
「素材の良し悪しが出るのがこのワインとか日本酒の醸造酒」
「……」
「100点の演奏ってどんなんかな?想像した事ある?」
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