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教員Aその210

 事務室から来客との連絡があったのは2時間目が終わった頃。1階の事務室横に行くとゴム長を履いて右手に傘を持った中年の男がいた。
『A先生?この度は申し訳ありませんでした。あの運転者はこの路線から外しました』
 深々と頭を下げている。ゴム長に傘、電車で来たのか。外を見ると雨。少し前までは降っていなかった。
『すみません、頭を上げてください。悪いのは本校の生徒たちです』
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

教員Aその209

『どのような…』
 私は箇条書き的に話した。バスを降りる前に小銭を要するように指導された。この事はお詫びする。しかし、小銭を用意しないのはおつむが弱いから、しかも本校は勉強できないのが有名と。
『で、神姫バスさんでは我校、勉強できないと認識されているのでしょうか?』
『そ、それは…』
 電話の向こうで絶句状態になっている。
『運転者の名前は?』
『さー、知りませんなー。8時過ぎに日乃日乃学園に着く今日のバス。そちらでわかるのでは?』
 もう一度、私の名前を聞かれて終わった。その後の神姫バスの対応は早かった。

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教員Aその208

『社長さん、お願いします』
 神姫バスに電話。何事もトップに直接が早く済む。電話に出たのは女性。身分と用件を聞かれる。しばらくして、男性に代わった。
『どういったご用件で?』
『用件は直接、社長さんに…』
『生憎、社長は出かけております。私が代わって承りますが…』
 こんな所で粘ってもしかたがない。
『オタクの運転手さんに…』
 間を置いた。
『運転手が何か?』
『いえ。勉強を…』
 また、間を開ける。相手、少しイラつくのがわかる。
『よくわからないのですが、すみません。どういった?』
『おたくの運転手さんに勉強させられたんですわ。私は、教えるのが商売。でも、オタクの運転手さんにみっちり勉強させられたんですわ。おわかり?』

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教員Aその207

「そうだったんですか。うちら、小銭を用意してなかったんで、先生と運転手さん、トラブッたんですか」
 2年近く前のバスの怒鳴りあいを聞いていた子が言った。
「そう。毎日バスに乗ってる君ら。運転手さんの言ったとおり、降りる前にきちんと小銭を用意しておかないとなー。常識っちゅうかエチケットだと思う」
「ほれでほれで、続きあるんでしょ。先生、この後、何をしたったん?」
「電話したなー」
「バスの会社に?」
「そう……」
 私は朝の職員会議とチャペルの礼拝が終わってから、すぐに音楽科の講師控え室に行った。ここには電話があった。しかも、普段、誰もいないので気兼ねなくしゃべることが出来る。

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教員Aその206

『よっしゃ、わかった。本校を勉強できないで有名と、神姫バスおよび、そのグループが認識しているととらえる』
『はぁ?なんやて?』
 これ以上、この運転手と話をしてても埒が明かないし、第一、もうすぐ朝の職員会議が始まってしまう。私はさっさと切り上げることにした。
『じゃー、社長に正式に抗議する事にするわ』
『な、なんて?あんた、先生やろ。こら、戻って来い。おい。センセー』
 少しあせった運転手が、怒鳴っているのを無視して、学校へ急いだ。

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  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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