AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

教員Aその165

「芸術性の高い演奏、フルトヴェングラーの音楽は常人の域からはるかに高い所にあった。打点がどうのとか、拍がなんとやらとか、今のオーケストラの連中はすぐにそういった事を言う。棒の先からほとばしるのは音楽のエネルギーだ。評論家連中でさえアホな指揮者の棒さばきが云々と、幼稚な事を言う。棒さばきと真の音楽とは全く関係が無い」
 私も含めて皆さん、宇崎先生の話に聞き入る。
「音楽を深く理解する指揮者からこそ、作曲家の真の内面をえぐりだせる。そういった指揮者が棒を振るとオーケストラの音そのものが変化する。フルトヴェングラーと行動を共にしたベルリンフィル、彼らはフルトヴェングラーの後、カラヤンで満足出来たんだろうか。情けない、誰一人としてカラヤンに異を唱える者はいなかった」
「カラヤンはつまらないですか?」
 私は質問した。
「つまらんね」
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

山畑誠 ピアノリサイタル

山畑誠ピアノリサイタル
2009年6月26日(金)
於:芸術文化センター小ホール
ハイドン:ピアノソナタ Hob.XVI:27
ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」
ショパン:華麗なる大円舞曲 作品18
      夜想曲作品27-2
      幻想曲作品49
ヒナステラ:ピアノソナタ第1番作品22
 
山畑誠氏はショパンの死んだ年に近くなってきた。初めて会ったのは彼が高1の時。あれから20年ちょい。光陰矢のごとしとはこの事か。第2部からのショパン、ヒナステラは文句なしの立派な演奏。聴衆を興奮させるほどの名演だった。対して古典派はドイツ、ウイーンの大先輩達には及ばないところがある。大器になるためには乗り越えなければならないハードルであろう。超一流のピアニストとしての今後の成長に期待する。

教員Aその164

「今日の運命の力の出だし。どうしてあんなに変わるのでしょう。演奏者は同じなのに出てくる音がまるで違う。失礼ですが最初の演奏は上手なアマチュアの響きでした。宇崎先生が少しのヒントを与えて棒をすると、違う世界が開かれます」
「第2次世界大戦をはさんだ時代にベルリンフィルを振っていたのは、フルトヴェングラー。近衛秀麿先生が戦前、ベルリンで、その演奏を聴く機会があった。少し遅刻してしまって、なんとか演奏が始まる直前に会場に入れた。曲が始まって近衛先生、何の曲かわからなかった。それはブラームスのシンフォニーの3番」
 宇崎先生、何を言い出すのだろう。どういう展開になるのか。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

教員Aその163

 その練習の後、一人の隊員の家に食事に招かれた。宇崎先生、音楽隊の指揮者、コンサートマスター他数人の隊員。
「先生の指揮棒はナイフをかざしているように殺気までかんじますなー」
 一人の隊員が褒め言葉を述べた。
「そう、そう」
 他のメンバーも相槌を打つ。
「指揮棒の先から無限のエネルギーを感じますなー」
「そうそう」
 こういったお世辞やら本気やらわかりにくい会話が延々と続く。私は精神的なことより技術的なことに興味があった。どうして50センチほどの指揮棒から、色々なニュアンスを引き出せるのか。隊員たちの会話はかえって退屈に感じる。
「Aさんは?」
 宇崎先生、ちっとも会話に乗ってこない私に話をふる。
「不思議です」
「何が?」

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

教員Aその162

 伊丹の自衛隊。正式名称は、陸上自衛隊伊丹駐屯地。そこにある吹奏楽部は中部方面音楽隊。その日はヴェルディ作曲「運命の力」序曲を宇崎先生が指導するという。
 最初に、音楽隊の指揮者が棒を振る。続いて宇崎先生。オーケストラは指揮者によって全く違う音楽を奏でる。この場合吹奏楽だが、同じようなものだろう。私は非常に興味深かった。
 まず、トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバの金管群とファゴットがいっせいにEの音を出す。宇崎先生はすぐにストップをかけた。
「えー、壁を突き破るように吹いてください。どうぞっ」
 棒を軽く上に放り投げるように振る。自衛隊の吹奏楽部の金管はバリバリと素晴らしい音を出した。しかも先ほどの音量の倍は出ているかのように。
 
 

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。