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教員Aその54

 この店自体に異様なオーラが漂っている。このオーラに引かれて戻ってしまったのか。
 布で出来たドリップを脱水機に入れる。30秒ほど回して取り出す。この脱水機、自分で作ったのか。コーヒー豆を挽く、手で回している。さっきのコーヒーミルとは違う方。時折、プシュッと音がする。コンプレッサーを使って挽いた豆を飛ばしているのか。コーヒーポットを右手でつかむ。口がSの字になっている。こんなコーヒーポット、見た事ない。S字の口に指を当てて温度を確かめる。入れる先はカップではなく、アルミの小さな鍋。鍋に入れ終わったらカップ注ぐ。マスターも私もまったくの無言。
 出来上がったマンデリンを私の前に置く。厚手の白いカップ。マスターは入り口近くに戻った。小さな椅子。腰掛けた。バサッ。新聞を広げている。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

教員Aその53

 もう一度カウンターに座る。クリーム色のチラシが目に入った。
『コーヒーは85度C以下で入れるべし、byカフェ・ド・ランブルの関口氏』と書いてある。
「すべのコーヒーですか?この85度…」
 私は恐る恐るマスターに訊ねた。
「まぁ、こっちのほうやね」
 こっちのほう、とは豆の種類が買いてある。マンデリン、トラジャ、インドマイソール、ハワイコナ…。つまり、ブレンドではなく、単種類の豆を味わうときにその温度という事か。
「では、マンデリンを…」
 意味なく目に入ったコーヒー豆をオーダーした。
「砂糖、ミルクは?」
「なしで…」
 気のせいか、マスターの口髭がピクッと動いたような気がした。

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教員Aその52

 コーヒーは白いカップに入れられた。分厚いコーヒーカップだ。安物っぽい。
 京都芸大音楽学部の正門の向かいにバチュールという喫茶店がある。入り口に錆びた乳母車を置いてあった。店内には外国の女の子の絵が飾ってあったり人形が置かれていた。おしゃれな異空間。そこで、ココアをよく飲んだ。カップは高級そうに見えた。音楽各部の学生は割引があった。私は1回も割り引いてもらわなかった。恥ずかしかったのか、ええかっこしいなのか。
 ソーサーの上に小さなミルクポット、シュガーボックスも横に添えられた。
「どう?」
 片山先生に小さな声でたずねられた。
「はぁ、まぁ」
 よくわからなかったというのが本音だ。煙草を1本ずつ吸って店を出た。片山先生はソロブレンドを200グラム買った。
「学校で飲もう」
 私は片山先生と別れてから、何か頭に引っかかるものがあった。ソロはコーヒー専門店のはず。ミルク?砂糖?私は引き返す事にした。

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教員Aその51

「ココアって、Aさん。甘いの好きなん?」
「はぁ、まぁ、甘いの好きといういうより、苦いのがあまり好みでないと…」
「甘いコーヒーあるよ。家の近所に…」
 片山先生が連れて行ってやるとおっしゃった。
「今日、終わったら行こう」
 
 店の前に車を横付け。片山先生はフォルクスワーゲンに乗っている。いわゆるビートルタイプではなく紺色のセダン。BMWに似ているタイプだ。あまり見かけたことがない。私が車にあまり詳しくないからかもしれない。店の看板、大きな字でソロと書いてある。店内はカウンター8席ほどと、テーブルが2つ。大きな機械も置いている。焙煎機か。
 カウンターの中には不機嫌そうなマスターがいた。他にはお客さん、いなかった。
「ソロブレンドちょうだいか」
 片山先生が注文した。
「私も…」
 前面にコーヒーの名前がずらっと書いてあった。が、まるでわからないので片山先生と同じソロブレンドにした。焙煎をここでやっているからか、強烈なコーヒーの香りがする。

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教員Aその50

「あのー、生徒は、顧問は…、名前だけでいいと…」 
 私は、妙な会話の流れになってきたので不安になった。
「何言っとん。そんなわけにいくはずない。ふふ」
 片山先生がニタニタ。
「試合になると、引率あります」
 と、池山先生。
「いい機会やね。Aさん、スポーツに目覚めたりして…。ははは」
 森先生は大笑い。
「わかりました。一生懸命します」
 私は覚悟を決めた。スポーツ。小学校で野球を半年、中学校で陸上を3ヶ月ほど。体を動かすことは嫌いではなかった。ただ、機会がなかった。
「はい、Aさん、コーヒーおかわり、どうぞ」
 片山先生がコーヒーを注いで下さった。
「Aさん、コーヒー好きなん?」
「好きかと言えば、ううん、あまり好きでは…。どちらかと言えばココアのほうが…」

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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