AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バー物語(フィクション)№286

 6月になると暑くなってくる。そして梅雨。店のあちらこちらで雨漏りがしだした。洗面器やグラスをおいてだましだまし営業するしかない。震災から2年半。この建物自体が危ない。瓦も何枚もおちてくる。屋根をカバーしているブルーシートがたまに吹く突風の影響か、ずれている。
 「マスター、何か焦げ臭くない?」
 まっちゃんがきょろきょろしだした。
 「そう言われれば…。何か燃えてますかね。まっちゃんのガラムでは?」
 「いやいや、きな臭いというか…。あ!あそこ」
 天井近くの壁がバチバチと小さな音を立てて燃えている。よく見ると壁が燃えているのではなく変電版がショートしている。
 「まっちゃん。変電版が燃えてるみたい」
 「マスター、何をのん気なこと言ってるの。やばいんじゃないの」
 「そうですね。火事になるかな」
 「うわ。バチバチ。マスター」
 私はエアコンのスイッチを止めた。火は出なくなった。
 まっちゃんは立ち上がって窓とドアーを開けた。
 「マスター、引っ越す前に火事になるんじゃないの?」
 「…。去年はどうもなかったのになぁ。なんであそこに変電版があるのかもわからないなぁ」

 
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№285

 吾妻寿司からメタリックバーまで歩いて20歩くらい。すぐ近くだ。メタリックバーのマスター坂下さんは脱サラらしい。小さな眼鏡に口髭、私と違い非常にスマートな体つきをしている。エビスビールが450円。ドリンク全てが学園祭並みにやすい。貧乏人が集まるバーにはならなくて芸術家風の人がよく出入りしている。村上先生もこのバーが好きだとおっしゃってた。
 「甲風園ね。いいんだけど。まだ新しいビルのことで公団と煮詰めたい事がいっぱいあるんや」
 坂下さんは私の提案に賛同はしてくれたものの返事はすぐにはできないという。
 「あわてて入らんでも…と思ってる。きちんと整理できたら入るかも知れんし…。武庫之荘も含めて近隣の駅近くのテナントもあたってるねん」
 坂下さんは粘り強い性格なんだろう。甲風園の4階のバー入りは保留という形で公団と交渉していくという。それもよかろう。これでカラオケスナックが入る余地がなくなった。
 

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№284

 「4階が今、だれも入ろうとしていないんです。私はカラオケの騒音がないフロアにしたいんです」
 「ううん。この際、寿司屋をやめようかとも思った…」
 「小西さん、再開発のための仮設店舗。費用はかからないはずです。私たちと一緒に移ってゆっくり考えるのも手なのでは…」
 「よっしゃ。わかった。公団に4階に入るって言うわ。仲良くして」
 「こちらこそです」
 小西さんは意外と早く結論を出してくださった。
 あと1店舗。一つのフロアに4店舗入れる予定と聞いた。残りの店舗を決めないとカラオケが入ってしまう可能性がある。
 北口市場で最初にできたバーがメタリックバー。芸術を語る輩がよく出入りしている。ウイスキー1杯が300円という普通では考えられない酒場だ。当然経営者も変人風。しかし一緒のフロアに入ってもらいたいバーだ。吾妻寿司を出てすぐにメタリックバーに行った。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№283

 「ビルの4階かぁ」
 吾妻寿司の大将は顔を曇らせた。
 「立山おかわり」
 私は2杯目の立山を注文した。
 「大西さんもよろしければどうぞ」
 「いえ。では、ビールをいただきます」
 私は営業前にはお酒をなるべく飲まないようにしている。が、この件は時間がかかりそう。ま、少しぐらい遅刻してもいいだろう。
 「まぁ、奥田君や泉さんといっしょにやれるのは魅力なんですが…。ビルの4階ねぇ」
 「大西さん、公団が用意する東の仮設店舗は難しいと思うんです。わざわざ大西さんに会いに200メーターも暗い夜道を歩いてお客さんが来てくれるとは思えないんです」
 「うんうん」
 大西さんは麒麟のラガービールの大瓶をグラスに入れて一気飲みした。もう一度グラスに入れる。
 「泉さんは決めてるんですね?4階に」

 
 

テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

スコチッチ氏を迎えて

 2006年11月25日兵庫県立美術館。クラリネット=江川恵子、ピアノ=齋藤マヤ、金子浩三、チェロ=アダルトベルト・スコチッチ。
 スコチッチはじめ出演者全員が懐かしいメンバーです。スコチッチは25年位前にチェロコンチェルトを聴いた事があります。江川恵子と齋藤マヤは大学の同級生。金子浩三は彼が高校時代からの知り合いでよく飲みに行ったりしたものです。ちなみに彼の嫁さんは私が教育実習で授業を担当しました。
 演奏はスコチッチが早めのテンポを好むらしく胸に深く突き刺さるというよりも曲の歌心を表現する、もしくは聴き手に心地よいメロディーとハーモニーを提供する方向を目指したものです。しかし、最後のブラームスのクラリネットトリオは地味ながらも聴衆にしみじみとした感動を与える名演でした。同級生の皆さん。おつかれさま。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。