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バー物語(フィクション)№247

 「かわいそうに…」
 大声でまた始めたその時、ゆっくり入り口が開いた。
 『あ、まずい』
 当の居酒屋の大将が入ってきた。 
 「マスター。ビール下さい」
 ゆっくりとサムの隣に座った。声は穏やかだが秘められた怒りを感じ取れる。外で聞いていたかも。
 「はい。ビール。お待たせしました。お正月初日、お忙しいでしょう」
 サムが余計なことを言わないように気を使って大将としゃべろうとしたその時
 「おお、おおお。おう、大将のふぐは800円を8000円…」
 ガチャガチャガチャン。大きな音と共にサムの身体が浮いてしまった。居酒屋の大将が太い左手でサムの胸倉をつかんで持ち上げている。二人の椅子は飛んでしまった。石油ストーブにそれが当たったのか火が消えて黒い煤が上に立ち登った。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№246

 「それがなー、マスター、支払いの時に8000円ちゅうわけや。どう思う?」
 「どう思うって、てっさ、てっちりが8000円だったら普通なのでは?」
 「アキヨシはな、マスター。うちへ来て泣くんや。800円と思たら8000円やったって…」
 「サムさん。私もアキヨシくんをよく知ってますが、そんな事で彼は泣きません。笑い話で、ギャグでサムさんに話したのでは?」
 「いいや。泣いてた。父親がいない子達なのであそこの大将がバカにしたのに決まってる」
 いまどき父親がいないといっていじめる空気がこの日本にあるかなぁ。サムは笑い話を悲劇に転化している。きっと0が消えていたかアキヨシくんが読み間違えたのだろう。彼は甲東園のタイ料理屋の息子。ふぐがいくらの料理か常識として知っているだろう。それにしてもサムの声はでかすぎる。店の外まで聞こえてしまう。こんな大声でしゃべってる男がいるバー、私なら入らない。啓示もポコちゃんもカウンターに座っていた。がサムに慣れている2人は何事もないかのように静かに酒を飲んでいた。だれもわかってくれない。そう思ったのかサムはまた最初から話し出した。

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バー物語(フィクション)№245

 「かわいそうに。バカにされて。ててなし子だからって…」
 サムは自分の店が営業中だというのに私の店でくだを巻いていた。
 「何がですか?だれがかわいそう?」
 私はわけがわからないので問いただした。
 「アキヨシと姉貴。サライの…。かわいそうになぁ…」
 「サライの…。知ってますよ。アキヨシくん。彼らが?」
 「あー。バカにされて」
 しつこいな。話が前に進まない。無視することにした。
 「アキヨシたちはふぐを食べた後に来よったんや。ウチに…」
 ふむふむ。ほっといたほうがよくわかる。
 「ウチの近所の居酒屋でふぐが安いって喜んで食べたらしい…」
 話が具体的になってきた。
 「ふぐが安い?どれくらい?」
 「800円。たったの」
 「?ふぐにもよると思いますが…」
 「そうや。てっさとてっちりがついて800円」
 「おっ。それは安い。私も行きたい」

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バー物語(フィクション)№244

 明けて1996年、1月、震災から一年経って再開発の動きも活発になってきた。西宮北口駅北東地区震災復興第二種市街地再開発事業という長ったらしい名前。主催者は住宅都市整備公団。私はいつの間にか住民側の再開発実行委員会の副会長になっていた。第二種というのは強制執行権をもつ。再開発に反対するものは切り捨てるし立ち退きを拒む建物は取り壊すぞという迫力を持つ。トップウインのように震災から細々と営業している店をどこに移転するかでもめたり、再開発事業そのものに反対するものもいる。立ち退き料目当てで新しく店を興すものもいた。公団はまずは立ち退きの書類を整理したいらしい。
 「マスター、ビルがこの辺に建って立ち退き料いっぱいもらえるの?」 
 多くの人に聞かれた。一銭も入らない。ただ、新しい店舗に移るための引越し費用は出る。私の店は又貸しの又貸しの又貸しの又貸し。3坪の立ち退き料を権利者でそれぞれ割っていくと私の手元にはほとんど残らない。早々と立ち退き料権利放棄の書類に判をついた。
 このような状況の時に人間はイライラがつのるらしい。事件のきっかけはまたサムが作った。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

神戸純米共同組合 燗酒の会

 2006年9月24日湊川神社の楠公会館でおこなわれました。主催は酒の大宗と松岡商店。世話をしているメンバーを見る限りほぼ、大宗が中心になって開催されたと思います。13のお蔵、秋鹿、石鎚、奥播磨、かたの桜、篠峯、神亀、睡龍、諏訪泉、七本鎗、大治郎、竹泉、まんさくの花、るみ子の酒。ほとんどが小さな小さなお蔵さんです。かたの桜の9年ものの吟醸酒と睡龍さんのにごり酒を中心にいただきました。会の進行イベントはほとんどなくゆっくり酒造りにたずさわっておられる方にお話を聞けるいい機会でした。甘みのみが突出している寝かした日本酒が好きな私でも色々燗でためしているとなかなかいけると思ってしまいます。個性的な日本酒ばかりを集めたこの会、毎年開催していただきたいと思いました。

テーマ : 日本酒
ジャンル : グルメ

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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