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バー物語(フィクション)№164

 多くのお客様がこの震災でひどい目にあわれた。生真面目そうな内山さんは西宮から堺に引っ越された。それなのに毎晩のように来て下さった。必ず長い棒状の袋を持って。
 「内山さん、いつも持ってこられるその袋には何が入ってるんですか?」
 「ああ、これ。M16です。マスターご存知?え?知らない。やだなー。M16はアメリカ軍の小口径のアサルトライフルです。ゴルゴ13が使ってるでしょ。小柄な人でも扱いやすいように造ってあるんですよ。このM16が世界中のアサルトライフルの歴史を変えたとも言えるんですよ」
 内山さんはとってもかしこい人なんだろう。いつも一つ一つの説明が具体的かつ、丁寧だ。が、
 「で、本当の中身は何ですか」
 「竹刀です。木刀を持ち歩きたいのですがおまわりさんに何か言われるのも…」
 「竹刀を持ち歩くのもどうかと思いますが…」
 「昔やってた剣道をまたしようかと思って」
 内山さんはほとんど深夜まで飲まれていてタクシーで堺まで帰られた。竹刀が入った袋を片手に持って。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№163

 私がジントニックを飲み干してからすぐに北斗を出た。また来てねと学に声を掛けるマスターはどこまでも優しかった。が、1年後にとんでもないことを知ってしまう。ちゅくちょく北斗を利用させていただいたが急に閉店になっていた。不思議に思った私は北斗の近所のお好み焼き屋さんに寄って事情を聞いた。北斗のマスターは覚せい剤の密売で捕まってしまったと。あのバーは本来酒を飲むのがメインではなく薬の売買が主だったと。驚愕。純粋に酒を楽しんでいた私には覚せい剤の話は一切せずまじめに普通に相手をしてくれた。彼は根っからの悪ではなかったと思う。
 学と正行は私の家に来てファミリースタジアムをピコピコやりだした。ファミコンに付き合う気のない私は二人をほっておいて先に寝た。翌朝、二人はいなかった。私の枕元に手紙が書いてあった。感謝の言葉がたくさん書かれていた。しかし、すべてひらがなの手紙だった、自分の名前以外。
 『漢字を知らないのか、私が漢字を読めないと思ったのか…』二人の手紙を丁寧に折って机の引き出しに保管した。ま、どちらかが有名な料理人になるだろう。年をとって偉そうなことを言い出したらこの手紙を突きつけてやろう。ふふふ、楽しみが出来た。私は再び眠りについた。

テーマ : 連載小説
ジャンル : 小説・文学

バー物語(フィクション)№162

 「まーまー、お座りください」
 マスターが学に話しかける。それでも学は動かなかった。日本学園てそんなに上下関係がきついのか。
 「学君、マスターも困ってるだろ。座れよ」
 学は首をうなだれたままゆっくり座った。
 「………」
 学が私に何か言っている。耳を近づけた。
 「マスター、早く出ましょう」
 私も学に小声でささやいた。
 「あほ。マスターと言うな」
 「あ、すいません。先生、早く出たい…」
 私はあらためて北斗のマスターの顔を眺めた。スキンヘッドにサングラス。目があまり見えないがやさしい目をしていると思う。私には常に物腰が柔らかいし他のお客様にも荒い口をきいているのを見たことがない。トップウインのマスターのほうがよっぽどガラが悪い。
 「ジントニックおかわり」
 学が私の手を引っ張った。
 「せんせい…」
 「わかったわかった。これを飲んだらファミコンして遊んだる。もうちょっと待っとき」
 正行はこれまでのやり取りをニコニコ笑いながら聞いていた。
 「正行くん。ファミコンできる?」
 「は、はい」

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

パッシングマーク

5月28日に府中競馬場でおこなわれる日本ダービーにサクラサクを母に持つパッシングマーク号が出走いたします。4枠8番北村宏司騎乗。出走するだけでもめでたいです。で、今日、明日、グラス発泡酒プレゼント。合言葉は「サクラサクを母に持つパッシングマーク」です。

テーマ : 中央競馬
ジャンル : ギャンブル

バー物語(フィクション)№161

 「私も高校の時にやりました。あれは効果がないでしょうね」
 北斗のマスターは笑いながら学の話に反応した。
 「へー、マスターも。ふうん。俺の高校は悪ばっかりで喧嘩は日常茶飯事、煙草、酒は当たり前だったなぁ」
 「ほうほう、どちらの高校でいらっしゃるんですか」
 「知らないと思うよ。全寮制の学校。いなかにあるんだ」
 「いやー、偶然ですね。私も全寮制でした」
 「本当?俺は姫路の奥の日本学園」
 「なーんだ。だったら後輩ですね」
 「…………」
 急に学が無言になった。バッと立ち上がった。
 『なにしとんねん。学』
 「失礼しましたぁっ」
 びっくりする。何を大声出す必要がある?しかも直立不動。腰を90度に曲げている。
 「知らぬこととはいえ失礼の数々お許しくださいっ」
 「学くん。声大きすぎ。何をどなっとんねん」
 私は学に注意した。が、彼は腰を曲げたままピクリとも動かない。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
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