AX

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

幼稚園児のジビエ

 私が5才くらいの時、和歌山の祖父の家。夏に、よく長期間滞在していた。
一人であったか妹もいたかはあまり覚えていない。幼稚園も夏休みがあったのでその間行っていたんだと思う。
 家の前の細い道の向いに西瓜畑があった。年寄りは朝が早いのか、祖父祖母が早いのかはわからないが、5時くらいには起きていたと思う。 
 ある朝、その西瓜畑を見ていると野鳥が何羽か降りたり飛んだりしていた。西瓜畑にいる虫を捕って食べていたのか。その様子が面白く、飽きずにじっと見ていた。
「何を見て笑っている?」
 祖父が横に立って聞く。
「鳥、ほら、飛んだり降りてきたり…」
「鳥?あぁ、キジだな」
 しばらく二人でぼんやり見ていた。
「捕るか?」
「え?捕れるの」
「捕れる。するか?」
「うん」
「じゃー、今日は駄目だ。明日もっと早く起きなさい」
 次の日、4時くらいか、朝日が昇る前に起こされる。大きなざるとつっかえ棒にタコ糸の仕掛け。
「ざるをこの棒でささえてキジが入ったら糸を引っ張る。できるな?」
「うん」
 エサは米だった。畑の端に身体を伏せてジッとしている。気の長い勝負。朝日が昇ってしばらくするとキジがやってきた。
「入れ入れ、米を食べろ」
 私は念じながらジッと我慢。ざるの近くに舞い降りたキジがざるに近づく。しばらく覗いていたキジがコメを目当てにざるの下に入る。
 ピッ。
 思いっきり糸を引っ張る。見事にかかった。どうしてよいかわからない私は祖父を呼びに行く。
「おうおう、上出来上出来」
 私はその鳥を家の中で飼うのかと思っておおはしゃぎ。

 その日の夜、生まれて初めてジビエなるものを食した。すき焼であった。
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

怪談(尿意)

 ここはしがない場末のバー。マスター、店内片付け、午前4時に消灯。いつもは小さな灯り一つだけ点けて鍵を締める。が、間違って普段使わない電球を点けてしまった。明るい光りの下、いるはずのない女性が。和服姿でこちらを見ている。あわてて全ての電灯を点ける。しかしもう居ない。今一度繰り返す勇気なし。
 急ぎ足で駐車場へ。車に乗る。エンジン、なかなかかからない。焦る。セルモーター、何回も。ふぅ、かかった。安堵の吐息。シートベルト。あれれ、見つからない。そんなはずは。
「これですか?」
 女性の声。あ、どうも。ってあなた誰?後ろを振りむく。誰もいない。彼は祈る。早くお日さん出てきてくれ。
 10分ほど運転、自宅の車庫に車、入れる。ドアロック。異常なし。勝手口の鍵を開ける。異常なし。台所の電灯点ける。異常なし。階段の電灯点ける。異常なし。上る。寝室の電灯点ける。異常なし。ふっ。彼は尿意をもよおす。トイレのドア。開かない。思いっきり引っ張る。
「入ってます」
 彼は気を失った。
 布団の中で目が覚める。夢?トイレのドアが開かなかった記憶。声が聞こえたのは錯覚か?ふむふむ、そうそう。なぁ~んだ、ただの老人ぼけか。年は取りたくないものだ。気が楽になり、また尿意。イチモツを取り出し手が震える。パジャマ。彼にははパジャマを着る習慣がなかったのである。

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

higemaster

  • Author:higemaster
  • 桜咲くころ=淡路島の地鶏焼きをメインに熊本直送馬刺し、鹿児島の親鶏、黒毛和牛のてっちゃん、ほか、おいしい一品料理を楽しめます。また、日本酒、焼酎、ワインがリーズナブルに楽しめます。
    ピアノバー・トップウイン=1935年製の古いスタインウェイのグランドピアノがたまに鳴ります。ワインを中心にカクテル、シングルモルト、日本酒、焼酎等できるだけ品質の高いお飲みものをそろえるように努力いたしております。
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。