幼稚な料理その61
麻美子は、最初から最後まで暗譜で弾ききった。伴奏を暗譜ではなかなか弾けない。相当の努力と時間が要る。不器用でなかなか進歩が見られない麻美子。人知れず何かをやりきるタイプか。その晩。
「今、何弾けるの?」と、またまた物好きポコちゃん。
「えー、いつもといっしょですー」
「じゃー、弾いて…」
「ポコちゃん、麻美子は今、ベートーヴェンが弾けますよ」横から口をはさむ私。
「わー、すごいすごい」手をパチパチ。まだ、一音も鳴らしていないのにベートーヴェンで反応するポコちゃん。
「えー、そんなー」
本気で助けを求めるような目をする麻美子。
「あのね、ノクターンもね、今日のスプリングソナタもね、私から見るとね、よう似たものなのね。ようするにどちらも聴いちゃーおれないレベルなのね。ベートーヴェン、弾いたら?」
「はーい」
麻美子は軽く返事。
「今、何弾けるの?」と、またまた物好きポコちゃん。
「えー、いつもといっしょですー」
「じゃー、弾いて…」
「ポコちゃん、麻美子は今、ベートーヴェンが弾けますよ」横から口をはさむ私。
「わー、すごいすごい」手をパチパチ。まだ、一音も鳴らしていないのにベートーヴェンで反応するポコちゃん。
「えー、そんなー」
本気で助けを求めるような目をする麻美子。
「あのね、ノクターンもね、今日のスプリングソナタもね、私から見るとね、よう似たものなのね。ようするにどちらも聴いちゃーおれないレベルなのね。ベートーヴェン、弾いたら?」
「はーい」
麻美子は軽く返事。