教員Aその215
さて、私は姫路の次の駅「御着」で降りた。そして、姫路行きの電車を待つことになる。お別れ会をしてサヨナラのセレモニー。気持ちはわかるが、私はまだ姫路の今宿に住んでいる。帰って引越しの準備をしなければならない。ダンボール箱に詰め物が山のように残っている。
姫路駅に着いて、改札を出た。数歩、歩いたところで体がこわばった。改札に引き返す。
「すんません、さっきの切符」
「はい?」
「返して下さい」
「え?これですか。大阪行き。おかしいと思いました。お忘れ物ですか?」
「はい。うっかりしてました。忘れ物を取りに戻ろうとして、切符を渡してしまいました」
「どうぞ。もう一度、ここを通って下さいね」
「はい。ありがとうございます」
硬くて分厚い小さな切符。25人の生徒がお小遣いを出し合って買ってくれた。捨てるわけにはいかない。日之日之学園唯一の記念品。
教員A完(フィクション)
姫路駅に着いて、改札を出た。数歩、歩いたところで体がこわばった。改札に引き返す。
「すんません、さっきの切符」
「はい?」
「返して下さい」
「え?これですか。大阪行き。おかしいと思いました。お忘れ物ですか?」
「はい。うっかりしてました。忘れ物を取りに戻ろうとして、切符を渡してしまいました」
「どうぞ。もう一度、ここを通って下さいね」
「はい。ありがとうございます」
硬くて分厚い小さな切符。25人の生徒がお小遣いを出し合って買ってくれた。捨てるわけにはいかない。日之日之学園唯一の記念品。
教員A完(フィクション)
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